それに気付いたのか、架衣が笑みを深める。

次の瞬間。

「遙っ!」

ギュッと強く…だけど優しく抱き締められた。


「架衣っ…架衣っ…」

私は架衣に包まれながら、安心の余り泣きじゃくる。

架衣の匂い。
架衣の温もり。

その全てが、私に愛しさを与えてくれる。


「おか、えりっ…架衣っ…」


途切れ途切れになりながらも、私は架衣に“おかえり”と言う。



それに架衣は微笑みながら

「―――長い夢を見ていたみたいだよ」

そっと、私の顎を持ち上げる。

そのまま、唇が重なった。


“これからも、よろしく…架衣”

重なった唇から、私の思いが伝わりますように。


架衣の私を抱きしめる腕が、少し強くなった気がした―――



end