「―――ねぇ」


私が心地よい沈黙にひたっていると。

隣にいた架衣が、花に視線をむけたまま、声をかけてきた。


私はそれに、何?と可愛げのない声を返す。

私も、視線は花に向けたまま。


その返事に、架衣はこれを言っていいものか戸惑ったのか。
それから暫くの間、沈黙がおりる。

隣から、架衣の焦ったような意味のない言葉がもれた。
そして、その間も私が 根気よく架衣の言葉を待っていると


「教えて、―――俺のこと」

架衣が、やっぱり花に視線を向けたまま、真剣な声音で聞いてくる。


私は、それに微かに息をのんだ。
架衣の、こと。