「・・・そういえば、大島君ってまだ試合無いの?」

「・・・そろそろかな」

そう言って、大島君は組み合わせ表を見た。


「あ、見せて、見せて。

・・・大島君、ベスト16まではいけそうだね」


大島君はいたずらっ子みたいに笑った。


「もちろん。

絶対8入るから、見てろよ?」


その時、放送が入った。


「・・・あ。俺、行かなきゃ」

大島君は歩き出した。


でも、すぐに歩みを止めて、くるりと振り向いた。



「なぁ、宮間」


「何?」

「・・・もし、暇だったら・・・俺の試合、応援してくれない?」


大島君の瞳はさっきの自信はどうしたのかと思うくらい、不安の色が浮かんでいた。


「いいに決まってるじゃん!

じゃあ、応援してるからね。

・・・我が高原中のエースとして頑張ってね!」