赤堀は何も言わなかった。
「・・・もう、新人戦なのにね。
横回転で苦戦するとか、本当情けないなぁ~・・・」
独り言のように言葉をつむぐ。
何も言わない赤堀の気遣いに、とても安心した。
「赤堀だって・・・練習したいことあるでしょ?
なのに、つき合わせちゃって本当ゴメン。
・・・なのに、全然上手くならないし・・・。
本当、迷惑ばっかかけちゃって・・・。
大事な、大会前なのに」
いくら横回転が取れなくたって、私は女子団体のレギュラー。
試合の価値くらい、分かってる。
この大会がどれだけ重いものなのか。

