「・・・どうして・・・っ、引き止めるの・・・!?」
「え・・・?」
「・・・笑えなく・・・なっちゃうじゃん・・・っ!」
「っ」
赤堀はさっきよりも私の手首を掴んだ手に力を込めた。
「部長ー。
何か、宮間がちょっと具合悪いみたいなんで、少し抜けます」
「おー、了解。
無理すんなよ?」
赤堀は私を引っ張って、1多から連れ出した。
そして、成崎君と話したあのベンチに座った。
「・・・泣いてる?」
心なしか、気遣うような声。
「泣いてない」
そう、泣かない。
いや、泣けないんだ。
こういうときだけ、無駄に強がる。
やっぱり、素直じゃないから。

