赤堀はゆっくりと、私の手首を離した。 そして、私を解放すると、歩き出した。 でも、私は、赤堀を引きとめた。 言いたいことがあったから。 「ねぇ、赤堀!」 赤堀がくるりと振り向いた。 赤堀の姿は逆光であまりよく見えなかった。 笑いながら言った。 「溜め息つくと、幸せが逃げちゃうよ? あんまり、溜め息ついちゃダメだよー」 ただ、それだけ。 私は、赤堀と逆方向に歩き出した。