「あ、成崎君・・・」
「珍しいですね、一年棟に来るの」
成崎君が、かすかに首を傾げた。
その時、不意に、成崎君もまた背が伸びていたことに気がついた。
皆、変わっていく。
見た目も、中身も。
―――気持ちも。
何かを誤魔化すように笑って、口を開く。
「ちょっとね。
あのさ、麻田さんいるかな?」
「麻田?」
予想していなかったようで、成崎君は少し驚いてから、教室の中に向かって「麻田ー」と呼んだ。
ドクン、と心臓が跳ねた。
「あ、いたみたいっすね。
じゃあ、俺はこれで」
ドクン、ドクンと心臓が速さを増していく。
うん、落ち着け。
とりあえず、分かったことがひとつある。
成崎君は、麻田さんと赤堀のことを知らない。
私が、麻田さんの名前を出しても、成崎君の表情に戸惑いとかは見えなかった。
―――それはつまり。
赤堀は麻田さんのことを、誰にも言わないつもりだということなのだろうか。
ズキン、と胸が痛んだような気がした。

