キーンコーン、カーンコーン・・・。
授業の終わりを告げる、聞きなれたチャイムが鳴る。
既に片づけを終え、ノートもまとめた私は、あいさつの後、すぐに琉依のもとへ向かった。
「琉依、ゴメン、ちょっと先に教室行っててくれる?」
「んー、分かった」
琉依はまだ、ノートをまとめきれていなかったようで、綺麗な文字をノートに書き連ねていた。
理科室のドアに手をかけ、横にすっと引く。
届けに行く。そう決めたのに、迷っている自分がいた。
人通りの少ない理科棟の廊下をぺたぺたと歩く。
一年棟の西校舎に入ると、一気に賑やかな声が流れ出してきた。
赤堀たちのクラスは、西校舎の2階だから、私はまた階段をゆっくりと上った。
教室の廊下には、いくらか人がいた。
友達と話しながら、きらきらと笑っている一年生を見ると、たった一年しか違わないのに、自分がとても醜いような気がした。
一年で、多くのことを、変えてしまった気がした。
ドアの前で私は、立ち止まった。
立ち止まろうとしたわけじゃない。
開ける勇気が出なかっただけの情けない理由。
それでも、震える指を誤魔化すように、一度手をぎゅっと握ってから、ドアの取っ手に手を伸ばした。
「あれ、宮間先輩?」
「っ」
驚いて、バッと振り返る。
そこにいたのは、不思議そうな表情をした成崎くんだった。

