すると、赤堀は微かに笑い声を落とした。


「・・・宮間って、すぐ顔赤くなるよな」

「うるさい・・・」


「で、図星だと、絶対『うるさい』って言う」

「っ、本当、嫌なやつですよね君は」


私の精一杯の嫌味を軽くスルーして、赤堀は「まぁ、でも・・・」と何かを言いかけた。

だけど、その言葉に続く言葉を言わないまま、口を閉じた。



「赤堀?」

私の呼びかけをまたもスルーして、赤堀は私の頭にポンと手を乗せた。

いや、乗せたというより、つぶすという感じだったけど。



そして、軽く私の頭をワシャワシャと撫でた。

いや、やっぱり、撫でたというより、グチャグチャにしたという感じだったけれど。



一瞬で伝わる、赤堀の手の大きさ。

隣に並ぶ赤堀の背の高さ。


ドキン、と心臓が跳ねる。


赤堀、また、背ェ伸びたなぁ・・・。

ていうか、こんなに大きかったっけ。


赤堀が入学したときは、まだ、そんなに身長だって差が無くて。

お互いバカなことばっかり言っていたのに。



あぁ、もう、困る。

赤堀ばっかり格好よくなって、困る。





「来てくれて、良かった」


無くなったと思った言葉の続きが、突然発せられた。



「え・・・?」


「宮間がいねぇと・・・、つまんねぇし」

「っ」


赤堀は、私の心臓を壊したいのかなって、真面目に思った。



その言葉を吐き捨てたあいつは、最後にもう一度私の髪をグチャグチャに撫でて、さっさと1多へと入っていった。




「っ~・・・!」


本当に、嫌なやつだ。

自分ばっかり、人のことドキドキさせて。


嫌な、やつだ。



・・・でも、赤堀の顔も少しだけ、ほんの少しだけ赤く見えたのは気のせいでしょうか。



だけどね。

―――ねぇ、赤堀、君は気付いていますか。