「麻田さんって・・・1年2組の麻田夏音(かのん)ちゃん?」
「・・・そう、なのかな?」
「多分、1年生に麻田さんは1人だけだと思うよ。
2年生で麻田さんは聞いたことないし」
「その子ってさ・・・、どんな子?」
私の質問に、琉依は少し眉を顰めた。
何か言いたげな表情をしたけれど、結局何も言わなかった。
きっと、その質問の意味を聞こうとしたんだろう。
それでも、琉依は少し考えてから口を開いた。
「・・・女バスで、髪は肩にかかるくらいかな。
悪い噂は聞いたこと無いし、結構可愛いよ。
委員会一緒だけど、いい子だし」
自分で聞いたくせに、何も言えなかった。
無意識のうちに、視線が下がる。
「・・・どうしたの?」
また、琉依に不安そうな表情をさせてしまう。
そんな自分が情けなかった。
でも、そっと視線を上げて、口を開いた。
「・・・赤堀がね、麻田さんに・・・告られてた」
「っ!?」
琉依の目が見開かれる。
「・・・仕方ないよね、赤堀、モテるもん」
「それ・・・、赤堀君から聞いたの?」
小さく首を振る。
「ううん、偶然、見ちゃっただけ」
琉依は小さく唇を噛み締めていた。

