―――。
――気が付いた時、私の視界に入ったのは木の天井だった。
「・・・あ、れ・・・どうして、私・・・」
その部屋は、紛れも無く私の部屋だった。
その時、ゆっくりと部屋の扉が開いた。
「あら、卯月、やっと起きたのね」
「お母さん・・・」
お母さんはちょっとだけホッとしたように息をついてから、小さく笑った。
「卯月、昨日、学校の保健室で倒れたのよ。
そのまま、ずっと寝ていたの。
熱も全然下がらなくてね・・・、多分只の風邪だと思うけれど。
倒れたのが17時だとして・・・もう、16時間は寝てたのよ」
「え、今・・・」
「9時17分よ」
お母さんは私の部屋の時計に視線を落とし、私に時刻を告げた。
・・・そんなに寝てたんだ、私。
「ほら、熱測って」
渡された体温計を黙って受け取る。
熱を測りながら、ぼーっと天井を見ていた。
昨日、結局部活出来なかったんだなぁ・・・。
赤堀は、どう思ったんだろう。
私に会えなくて、ちょっとでも寂しいとか思ってくれたのかな。
・・・なんて、都合良過ぎるよね。
昨日が金曜日だったから、今日はもちろん土曜日で。
せっかくの休日を風邪で無駄にしてしまったのがちょっと残念だった。

