「んー、何がいいかな。
『なおなお』とか!?」
ちょっとだけ目線を上に向けて、考えてから先輩は笑いながらそう言った。
「先輩、それ、小学校の時のあだ名です」
「え、そうなの!?適当に言っただけだったのに・・・」
先輩は、びっくりしたように目を見開いた。
あのさ、本当、適当とか言わないでくれませんか。
先輩が、笑う度、俺を呼ぶ度、
心臓がうるさくなるっていうのに。
あぁ、もう、本当何なわけ。
自分で自分が理解出来ない。
「大島君は、なんか、呼ばれたい名前とか無いの?」
「・・・特にこだわりとか無いですけど」
俺がそう言い返すと、やっぱり先輩は困ったように「んー」と唸りながら、考えこんでしまった。
・・・何やってんだろ、俺。
名前の呼び方、とかそんな小さなことに苛ついて。
挙句の果てに、先輩まで悩ませて。
うん、なんか、只のガキだ。
「っ、先輩。やっぱ、いいです。
普通に呼んでください、そんなわざわざ考えてまで呼ぶことな・・・」
「ナオ」
俺に最後まで言わせずに、先輩はそう言い切った。

