射抜くような俺の声に、ビクッと先輩の肩が跳ねた。
あ、やばい、ビビらせたかも。
でも、ゴメン。もう、止まんない。
「あいつのことは、『成』って呼ぶのに。
何で、俺は、『大島君』なんですか?」
先輩は、目を丸くした。
「え、『大島君』って呼ばれるの嫌?」
少しだけ、ホッとする。
先輩は、俺におびえてはいなさそうだったから。
嫌なわけじゃない。
俺のことを『大島君』って呼ぶ人なんて、数え切れないくらいいる。
ただ、そんなんじゃないんだ。
そうじゃなくて――・・・。
「直人君」
ガラスみたいに透き通った先輩の声が。
当たり前みたいに、呼ぶから。
心臓が、ドキンと音を立てる。
うわ、何で。
良く分かんないけど、顔が火照る。
顔が上げられなくなった。
けれど、次に聞こえたのは少しだけ不満そうな先輩の声だった。
「んー、何か嫌」
「俺の名前、勝手に嫌とか言わないで下さい」
「あ、ゴメン、そうじゃなくて」
先輩は、何かを考えるような表情を浮かべていた。
「『直人君』って、呼んでる人なんてたくさんいるでしょ?
どうせなら、私だけの特別が欲しいなって思って」
そういって、目を細めた。
あぁ、もう、本当、何なんですか。
本当に、調子が、狂う。

