「・・・ゴメン、大丈夫」
先輩が必死に声を絞り出したとき、心が苦しくなった。
辛いんだ、先輩も。
なのに、この人は。
俺のために、俺なんかのために、辛いことを話そうとしてくれてる。
「っ、先輩」
耐え切れなくて、思わず、声が零れた。
涙は、気付いたら止まっていた。
それでも、先輩は口を開いた。
「・・・人に合わせるのも苦手で・・・っ。
だけど、皆に嫌われたく、ないから。
笑いたくないときに笑って。
ふざけたくないときにふざけて。
表面だけの自分を創ってた・・・っ」
先輩の言葉が、直接心に届く。
「3年になったら、友達が皆、服装とかを乱し始めて・・・。
私は、怒られたくなかったから、普通にしてたんだけどね。
そしたら、ある日、友達に呼び出されたの。
・・・何て、言われたと思う?」
片倉先輩は、そう俺に問いかけた。
・・・俺には、分からなかった。
だけど、先輩が辛そうなのは分かった。
そんな先輩に、何も出来ないことが――。
何もしてあげられないことが――。
――ただ、悔しかった。

