後輩男子に惚れちゃいました。

「・・・こう見えてもね、私、昔は結構真面目だったの」



そう言ってから、先輩は自分を嘲笑うように笑った。


「私が言ったって、説得力ないよね」


俺は小さく首を振った。




一時期、この人は確かに服装を乱していた。

それは、何となく覚えてる。




何故か、他学年の俺のクラスの話題に上るほどだったんだから、それは結構なことだったんだと思う。



まぁ、それは、片倉先輩の整った容姿のせいもあるんだろうけど。



何も無くたって、そのルックスだけで話題になるような人なんだから。





でも、今は、その頃に比べたら、先輩はかなり決まりを守っていると思うから。



先輩はゆっくりと続けた。




「真面目っていうより、先生に怒られるのが嫌だったんだよね。



・・・だって、わざわざ服装乱したり、ルールを破ったりして、目を付けられたら面倒でしょ?



怒られるのも嫌いだけどね」




なんとなく、分かるような気がした。


俺は、結構真面目なほうだと思う。


それこそ、宮間だって、赤堀だって。



でも、それって、真面目に思われたいとかじゃなくて。


怒られるとか、そういう面倒なことに関わりたくないだけだから。



「でも・・・――」


先輩の声が急に暗く聞こえた。



「・・・先輩?」

涙声で俺は呟き、そして、先輩の顔を覗きこんだ。




ビックリ、した。


いつも笑っているイメージな先輩。

なのに、辛そうな瞳をしていた。


泣きそうで。


苦しそうで。


そして。


――寂しそう、だった。