温かい涙が冷たい頬に流れる。
痛い、心が痛すぎる。
痛い程、大島君の気持ちが伝わってくる。
あの日見た姿と同じ。
涙を流した灯先輩。
先輩と大島君は同じだ。
「・・・っ」
だから、ちょっとは分かるよ。
全部分かってるなんて言えないけど、大島君の気持ちが分かるんだ。
「・・・赤堀の何処が好きなの?」
大島君の声に、弾かれたように顔を上げた。
余計なお世話だと思う。
だけど、それでも、気にしてしまう。
辛くなっちゃうんじゃないの?
自分の好きな人の好きな人がいる。
それだけでも、私は嫌だ。
なのに、その人の何処が好きだなんて聞きたくないよ。
大島君は、そうじゃないの?
辛くならない?
大島君が辛くなるなら、話したくない。
もう、傷付けたくないから。

