「・・・私・・・、大島君の気持ちには、応えられない・・・っ。
ゴメンなさい・・・っ」
ばっと頭を下げる。
心が痛い。
苦しいよ。
辛いのは、私じゃないはずなのに。
「顔、上げて」
なのに。
落ちて来たのは、いつもにも増して優しい声だった。
また、心が締め付けられる。
ねぇ、どうして。
苦しいはずの大島君が笑ってくれるの?
優し過ぎるよ。
無理しないでよ。
君の気持ちに応えられない私に、気を遣う必要なんて無いから。
「・・・分かってたよ」
「え・・・?」
唇から、掠れた声が漏れる。
「宮間が見てるのが・・・俺じゃないことくらい分かってた。
俺が見てたのは、ずっと宮間だったから・・・見てたから分かってた」
泣いちゃいけない。
私が泣くのは、おかしい。
唇を噛みしめる。
零れそうな涙を抑える。
それでも。
「・・・赤堀、だろ?」
あいつの名前を聞いたら、堪えることが出来なかった。
一筋、たった一筋だけ、涙の雫が頬を伝った。

