「・・・ふぅ・・・」

屋上に続く階段前廊下。

屋上が立ち入り禁止になっているこの学校。


人通りが少ないのは言うまでも無い。


でも、実は私の好きな場所の一つ。


ある日、偶然見つけた穴場。

突き当たりに大きく取り付けられた窓。


その窓を開けた時に、入り込んでくる風と暖かな日の光。


今の季節はちょっと冷たい風も、それはそれで意外と好きだったりする。


そんな場所で、私は大島君を待っていた。


正直、日の光の暖かさを感じる余裕すらありません。


でも、伝えなきゃいけない想いがある。

返さなきゃいけない答えがあるから。




「・・・宮間」


静かな空間に声が響いた。


「・・・大島君」


小さく笑みを浮かべている大島君。

でも、その笑顔はちょっとだけ無理していた。



「・・・返事、待たせちゃってゴメンなさい」

大島君が無言のまま、首を振る。


瞬間、心がキュッと締め付けられた。


分かってる。

大島君の優しさも、暖かさも。

真っ直ぐさも。


分かってるのに。