また、赤堀は私を抱き締める腕に力を込めた。
そして、溜め息混じりの声で呟いた。
「あ~・・・、何かもう、離したくねぇ・・・」
小さく笑みを零す。
「・・・でも、そろそろ、部活行こう?
卓球、したいもん」
すると、赤堀は不機嫌な声を耳元に落とした。
「・・・へぇ・・・、宮間は俺より卓球を選ぶんだー」
・・・そういう意味じゃないんだけどな。
「じゃなくて。
卓球したいの。・・・赤堀と一緒に」
一緒に打たなくたっていい。
卓球してると、今よりも距離は離れるかもしれないけれど。
同じ空間の中で卓球が出来る。
それだけでも、嬉しいんだよ。
赤堀と一緒なら。
「・・・赤堀は、私と卓球したくないんだー。
へぇー、そうなんだ」
「・・・んなわけねぇだろ」
その言葉に2人で笑う。
「じゃあ、行こうか」
赤堀が頷く。
体育用具室から一歩踏み出す。
廊下に伸びる2つの影。
「ねぇ、赤堀。
今度、試合しようよ!」
「手加減とかしないけど?」
2人でいられること。
とても幸せだって思った。

