「・・・んっ」
後ろから抱き締めたまま、赤堀はキスを落とした。
すぐに唇を離して、あいつは笑った。
びっくりして、声すら出ない。
むしろ、呼吸することすら忘れそうになった。
「ほら、黙った」
あまりにも子供みたいに、無邪気に笑うあいつ。
その笑顔にもう何も言えなかった。
黙って、視線を逸らす。
赤い顔を少しでも、見られたくなかったから。
また後ろから抱き締められる感覚。
赤堀の吐息が耳にかかった。
「・・・やっぱさ、さっきの訂正していい?」
「え?」
赤堀の言葉に思わず、戸惑いの声が零れる。
「・・・俺のこと、もっと頼ってって言ったけど・・・。
ちょっと訂正。
俺に『だけ』頼って。
他の奴じゃなくて、俺に頼ってよ」
何か、ちょっとびっくりした。
・・・嬉しかったんだけど、何か意外だったんだ。
赤堀がそんなこと言うなんて。
「赤堀・・・?」

