「・・・嫌、なんかじゃ・・・無かったよ」
途切れ途切れになってしまった声。
それでも、赤堀には聞き取れたみたいだった。
「宮、間・・・?」
迷いを振り切るように、また、口を開く。
「・・・好きだよ」
「え・・・?」
ギュッと眼を瞑る。
心臓の音がまた大きくなった。
「私が好きなのは・・・赤堀だよ・・・っ。
・・・キス、されたのだって嫌じゃなかった。
だって、相手が赤堀だから・・・っ。
赤堀が、好きだから・・・っ」
私が言い切った直後だった。
赤堀が私の手首を引いた。
「っ、わ・・・!」
私達しかいない廊下に、私が持っていたボールの箱と体育研究室の鍵が落ちる音だけが響いた。

