無我夢中で足を動かした。
走る。
走る。
とにかく、走る。
赤堀はきっと本気では走ってない。
だって、そうじゃなきゃ、こんな風に距離が縮まるわけないよ。
「赤・・・堀、っ!」
精一杯手を伸ばして、赤堀の腕を掴んだ。
赤堀が立ち止まって振り返る。
「っ、宮間」
でも、その瞳はすぐに逸らされた。
キュッと心が軋む。
「ゴメン・・・ッ、本当ゴメン・・・!」
また、切なそうな色をした瞳であいつは謝った。
・・・謝らないでよ。
目、逸らさないでよ・・・。
そんなに切なそうな表情しないで。
伝えたい言葉が頭をよぎる。
たくさんの言葉達が。
でも、切れている息と色々な想いのせいで、頭が回らなかった。
出てきたのは、全然関係ない一語だった。
「・・・ボール」

