頬に触れている手が動く。
撫でられる様に下りていくその手が首筋に触れる。
ビクン・・・っと肩が跳ねた。
反射的に、赤堀のジャージの裾をキュッと握った。
無理に言葉を押し出す。
「・・・っ、赤・・・堀・・・」
瞬間、広がる距離。
え・・・?
赤堀は目を見開いて、顔を赤くしていた。
「・・・っ、俺、何して・・・っ!!」
悔しそうに唇を噛み締めて、赤堀が視線を逸らす。
「・・・嫌な思いさせて、ゴメン・・・っ」
そう吐き捨てると、赤堀はバッと走り出した。
・・・待って。
嫌だ、なんて思ってないよ。
足に力が入らない。
アイツが、いきなりキスなんてするから・・・っ。
でも、追いかけなきゃ。
伝えなきゃ。
だって、このまま赤堀を行かせたくない――・・・。

