何も考えられない。
何も考えたくない。
今は、赤堀の体温が感じられるだけで充分で。
他のことなんてどうでも良かった。
びっくりするほどうるさい鼓動。
一瞬、離れた唇。
触れた空気の冷たさを感じるより早く、唇がまた重なる。
さっきとは微妙に違う角度。
「っ・・・」
触れるたびに、ピクンと身体が動く。
分からなくなる時間。
私の手首を押さえていた赤堀の手がそっと離される。
赤堀の手は、不器用に私の頬に触れた。
ドキン・・・ドキン・・・っ。
自分の心臓の音しか、聞こえなかった。
あと、分かったのは、
赤堀が触れる部分に熱が集まってることだけ。

