「あれ、でも・・・ボール当番って2人でしょ?
もう1人のボール当番は?」
「あぁ・・・、神田(かんだ)?
・・・待ってたけど、来ねぇから勝手に来ちゃった」
こっちが聞いたくせに、ふーん、と適当な返事を返して、体育用具室に用具たちを片付ける。
散らかっていて何が何だか分からなかったから、適当に置いておいただけだけど。
廊下に出ると、体育研究室の鍵とボールを持った赤堀がいた。
若干俯いていて、その表情は見えなかった。
「・・・宮間」
相変わらずの呼び捨てすらも、ちょっとだけ嬉しくて。
「何?」
あまりにも素直に返事をしていた。
だからこそ、赤堀の言葉は予想外だった。
「・・・大島先輩に告られたんだろ?」
「っ!・・・なっ・・・」
びっくりして、言葉が出なかった。
ゆっくりと赤堀がボールと鍵を廊下に置いた。

