「赤堀に好きな人がいても。
赤堀が私を見ていなくても。
・・・伝えたいから」
グッと涙を拭って、先輩は笑った。
「あなたもふられてよ」
「・・・それはそれです」
私が言い返すと、すっと先輩が立ち上がった。
そして、そのまま、ドアの方へ歩を進める。
ドアに片手を当てて、先輩は振り返った。
涙で赤くなった目を細めながら。
「・・・嫌がらせして、ごめんなさい。
あのね、私も・・・卯月ちゃんのこと、嫌いじゃないよ」
『卯月ちゃん』
初めて呼ばれたその呼び方に、心がホワッと暖かくなった。
「・・・今更、何言ってんのって感じだよね」
気付いたら、首を振っていた。

