嫌がらせされたのは、正直嫌だった。
だけどね、先輩の言葉や行動の裏に隠されていたもの。
それは、赤堀を想う1人の女の子の想いだった。
だから――・・・。
「嫌がらせとか、関係ないです。
だって、私も先輩も赤堀を好きなだけですから」
「バカ」
私がそう言った瞬間、片倉先輩は吐き捨てた。
「・・・お人好し過ぎるの!!」
ぷうっと頬を膨らませて拗ねる先輩は、年上だと思えないほど可愛かった。
「私のことなんて、嫌いになればいいの!」
「え、何でですか?」
「な、何でって・・・」
片倉先輩の瞳が泳ぐ。
「私、先輩のこと嫌いじゃないですよ」
「え?」
「・・・先輩は、ちゃんとぶつかってくれたから。
それに・・・赤堀を想う気持ちと向き合えたのは、先輩のおかげです」
そう、片倉先輩は、影で嫌がらせしたりしなかった。
私に言葉をぶつけてきたのは、いつも片倉先輩本人だった。
片倉先輩の瞳が見開かれる。
「・・・っ、バカ!
本当にバカじゃない?
何で・・・!」
先輩の大きな瞳から、涙が零れた。

