後輩男子に惚れちゃいました。

その時だった。

赤堀が、その子を呼び止めたのは。


「ちょっと待って」


女の子が不思議そうに振り返る。



私の心臓がバカみたいにまた、音を立て始める。

ドクドクと嫌な音が、耳障りだった。



そして、赤堀はスッと女の子に手を伸ばした。






・・・え・・・?


サラサラで綺麗な髪を、赤堀の細い指がすくう。

赤堀がその指を滑らせる。



1度も引っかからないその髪は、するりと指から抜けた。



嫌、だ。

・・・私もあれくらい綺麗な髪なら良かったのに。


悔しいよ。


・・・ねぇ、やめて。


そんなに大切そうに・・・その髪に触れないで――・・・。


「っ!!」


思わず、その光景から目を背ける。


見たくない。

聞きたくない。



真っ黒な自分の感情に、気持ちが悪くなった。