「・・・あのね、私、好きな人が出来たの」


今度は、私が琉依の言葉に目を見開いた。

「え・・・っ!?

嘘、全然気付かなかった・・・っ!」



心の中で、さっきの言葉を訂正する。

琉依のことだって、本当は分からないことがいっぱいだ。



でも、それなら、尚更―――。


大島君のことも、片倉先輩のことも。

赤堀のことだって、私は分かってなんていないんだ。





ちょっと待って。

琉依の好きな人ってもしかして・・・。



「・・・成崎、君?」

瞬間、琉依の頬に赤みが指した。


「・・・っ・・・え?」


「あ、そうなんだ」



私の言葉に、また一段と頬を染める。


「ど、して・・・」




別にね、琉依を見てて分かったわけじゃない。

ただ、真っ直ぐに琉依を想い続ける成崎君を、知っていたから。


そんなに想われている琉依が、ちょっとだけ羨ましくて。


成崎君がいい人だってことは、知ってるから。



そんな成崎君に想われれば、好きになっちゃうんじゃないかなって思ってただけ。