瞬間、近かった距離が一瞬だけ、無くなった。
「・・・え?」
「俺、本気だから」
大島君はそれだけ言うと、教室から出ていった。
誰もいない教室に、1人、ただ立ち尽くしていた。
段々聞こえなくなっていく足音。
その音が、完全に聞こえなくなった瞬間、足から力が抜けた。
「っ・・・!」
・・・キス、された・・・?
・・・口じゃなくて、頬にだったけど・・・。
まだ、残っている感触。
冷たい頬に、そっと触れた温かいもの。
『好きだよ』。
フラッシュバックする、大島君の声。
また、心臓がドキンと音を立てた。
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