「・・・情けねぇ・・・」
練習を終えて、外に出た。
外の空気は、突き刺すように冷たかった。
だけど、それが嫌な現実の辛さを誤魔化してくれるような気がした。
その時。
「・・・成君」
名前を呼ばれて振り向く。
そこにいたのは、
「・・・灯(あかり)先輩」
灯先輩はフワッと微笑んだ。
「練習、お疲れ様」
灯先輩は、3年生の先輩。
何でか、俺を気に入ってくれていて、結構仲がいい。
・・・灯先輩は優しくて、面白くて、・・・ちょっと騒がしいとこもあるけど、それは逆に明るいって言う長所。
いつでも、灯先輩といる時間は、楽しかった。
今、俺の目の前で笑う灯先輩の頬は、寒さで真っ赤になっていた。

