「大島君・・・! ありがと・・・」 私がそう言うと、大島君は軽く首を振った。 「別に? 俺は、早く練習したかっただけだし・・・」 優しいんだ。 大島君は。 私のことをかばってくれたのに。 私に気を遣わせないように、わざと嘘をつく。 優しい嘘を。 「・・・でも、凄く助かった。 だから・・・ありがとう」 フワッと笑った大島君は、私が大島君の吐いた嘘に気付いていることすら分かっていて。 でも、だからこそ、それには触れないでいてくれて。 ・・・そんな大島君が、凄く凄く格好よく見えてしまった。