『罰って・・・どんな?』


そんなの言える訳がない。


言ってしまったら僕は僕じゃ・・・なくなるのだから。



・・・・・・――――――


入学式の日、僕は屋上へ向かった。


誰も居ない場所で一人、空を見ようと思った。




人はいつか離れて行く。

でも・・・空は違う。


僕が見上げれば、いつも青空が迎えてくれるんだ。




屋上の古くなった扉は「ギィー」と音をたてて

ゆっくりと開く。



春の優しい香りがした。



やわらかくて、温かい、

心地のいい風が辺りを包む。



風で舞う桜は今まで見てきた景色の中で一番綺麗だった。



そんな桜よりもずっと綺麗だったのは

彼女の透き通った瞳だった。