荷物をまとめて家を出ることになり母である陽那(ヨウナ)は、以前から用意していた着物を渡しながらいつでも出れるようにしていた。
「まさかあなたがこんなにはやく殿様に見初められてお姫様の護衛兼遊び相手に選ばれるなんてあなたが家を出るなんて思ってもいませんでした。
あなたはどの兄弟よりも賢く育ったから母は何よりもあなたが強く教養高く私にとってあなたには家を継がない分いい子に育てたかったんです」
「母上私は家を出ていても息子であることは変わりないのですから私にできるかぎり姫様を守れるようにがんばっていきますね」
出て行くとき陽那の悲しげな表情をしていたが強くたくましく生きていくようにといい息子を送り出す母の顔を嘉野丞は見た気がしていた。
城まで荷物を抱えながら歩いていくと城からの迎えの方が来ていて城内に入り殿様に挨拶をして荷物を片付け終わると椿が入って来ていた。