目が覚めた私はギシギシと音をたててきしむ階段を1つ1つ下りていく。 少し灯りのもれたガラス張りの部屋に手を伸ばし、ゆっくりとその戸を開く。 先ほどの緩やかな雰囲気は打ち消され、うねるようにして真っ赤な炎は私に襲いかかってくる。 炎に巻かれて木の臭いがするとともに別の臭いが鼻についた。 今なら分かる。この臭いの正体が何であるかを。 私の記憶の中から長年姿を消していた記憶。 真っ白で空白な部分。