コツ、コツ…


最初のうちはただの通行人だと思った。いや…


・・・・・・
思いたかったの方が正しいのかもしれない。


私の淡い期待は即座に打ち砕かれた。


私が足を進めると、その人物の足音もこだまするように聞こえてくる。


私が足を止めると、その足音もピタリと止んだ。

私はどうしようもない恐怖にかられていた。


その足音から逃れようと必死になっていると、いつの間にか先に道がなくなっていた。


正確に言うと、行き止まりになっていた。