幼馴染と彼氏の事情


「とにかくなんとかして彼のドレスを選ぼう!!会うのはその後!!」

そう決意し生徒ばかりの人ごみへ入っていった。

「んー・・・っても紳士のような服・・・シンプル?おしゃれ?」

いろいろ見てはみるけど実際どれが彼に似合うかなんて分からなかった。

「でも・・・イメージ的に黒なんだよね?黒・・・黒・・・あ!」

すると少し向こうの方にいい感じの服があった。

それにしよう!!

そう決めて手に掛けた時だった・・・

誰かと同じ服をひっぱった。

「あ・・・。」
「ん・・・・あ!」

私はその人を見るなりすぐにピピッと頭に電波が走った。

「あれ?甲坂さんだ。久しぶり!」
「えっと・・・七深さんだよね?」

彼女は私の質問に可愛い笑顔で頷き返答を返した。

「甲坂さんもダンスパーティーやるんだよね?」
「あ・・・うん!」
「今年は誰と踊るの?」
「えっと・・・・彼氏と。」

あれ?おかしい・・・なんか寂しくなっちゃった。

「ん?沈んだ顔してどうしたの?」
「え?・・・沈んでないよ!!あはは。」

あ、ちょっと表情にでちゃったかな?
私はその話を逸らすように彼女にほかの
質問をした。

「七深さんも踊るんだよね?」
「うん。私は高梨君と踊るんだ。」

恭ちゃん・・・。
少し心が痛い・・・なんていうかずきずきして・・・

「高梨君ね、私にドレス選んでくれるんだって!私には白が似合うよーなんて照れながら言ってくれて・・・あの人シャイなんだなーってw」


ドレス・・・白。
私に向けた言葉と一緒。

誰にでも同じ事言ってたんだ・・・。

「そ・・・そうなんだ。よかったね!」
「ありがとう!あ、そうだ!!ちょっと相談したい事あるんだけど・・・いいかな?」

相談?・・・なんだろう。

「ここ生徒いるし外でない?」
「あ・・・でも服・・・きゃ!」

彼女は私の意見も聴かないまま腕を掴み
無理やり引っ張っていった。

ちょ・・強引じゃない!?


たったった・・・・。

「ふー・・・この辺で話しましょうか。」

裏庭の近くにくると彼女は腕を少しわざとらしい
放しかたで腕を放した。

「・・・・・。」