幼馴染と彼氏の事情


そう言って先に屋上を出て行った。

これでいい・・・これでいいんだ。

「・・・。」

でも・・・涙が出てきた。

これでいいなんて嘘。
本当は嫌だった・・・恭ちゃんと他人だったなんて考えられない。

「ごめんね・・・・ごめん・・・っ・・・ごめんなさい!」


屋上で発した一言が響く。
体は震えてアスファルトは濡れ風が冷たい。


暫く一人になりたい・・・。











      *



「せい・・・星華!?」

ん・・・?俊ちゃんの声・・・。

「え・・・俊ちゃん!?」

あれ・・・今ここどこ?
えっと・・・屋上にいたはず。

あ・・・あれから教室で授業受けて・・・
皆が帰った後少し寝てたんだ。

「お前大丈夫か!?目の下腫れてるぞ!?」

え!?嘘!?

「あ・・・さっき泣いたからかも。でも、冷やせば何とかなるし!」

そういって軽く擦る。
あ・・・本当だ、少し痛い。

「泣いたって・・・何かあったの?」

ドキン・・・。

「あ・・・ううん。ちょっとゴミ入っちゃってなかなか取れなくて・・・。」

でも彼はすぐ嘘だって気づいた。
でも口に出さずに行動で示す。

そしてそっと・・・私の目に触れる。

「俊ちゃん・・・。」
「ちゃんと教えてほしい。俺は星華の彼氏だよ?・・・そんなに頼りない?」

そんなことない・・・。
でもこのことはあまり話したいとは思わなかった。

「あのね・・・正直話したくない。」
「え?」
「何で泣いてたか・・・話せない。」
「俺が心配するから?」
「それもある・・・でも。」

もしあのことを話して俊ちゃんが悲しくなったら?
悲しい顔が見たくない。