幼馴染と彼氏の事情


「その・・・お前あいつとキスしたのか?」

彼は少し悲しげな表情を見せる。
なんで恭ちゃんがそんな顔するの・・・。

少し心が痛くなった・・・。
まただ・・・また痛い。

「だから?いいじゃん彼氏なんだから。」

でもこんな事で彼の心になんか触れられない。
そう考えると何故か冷たい態度をとってしまう。

「確かにそうかもしれないけど。でも・・・それだけじゃない!!お前俺の事会うたびに避けて・・・。」
「避けてないよ・・・。誰だって都合悪い時あるじゃん。たまたま被っただけでしょ?」

嘘・・・避けてる。
彼もそれを知ってる・・・そんなの分かってる。

「ねぇ・・・俺嫌だよ。お前とこのまま気まずい関係じゃやだ・・・お前と幼馴染のままじゃ・・・嫌だ!!」

え・・・。
幼馴染のままじゃ嫌って・・・。

「恭ちゃん・・・それなら答えたよね?あたしには俊ちゃんがいる・・・だからっ。」

そういいかけたとき私は抱きしめられた。

ギュ・・・。

全然優しくない・・・むしろ痛かった。
でもそれは私をどこにも行かせたくない・・・そんな抱きしめ方。

「放してよ・・・。」
「嫌だ。」
「放してってば!!」
「嫌だ!!」

・・・・。
やめてよ・・・やだよ。
あたしだって嫌だよ・・・もう遅いよ。

「だって・・・放したらいなくなる。」
「恭ちゃん・・・・。」

でも・・・恭ちゃんは駄目。
彼にはいる・・・七深さんが・・・。

私より七深さんの方を取ったのは彼でしょ?

ふと・・・彼と屋上でダンスをしたこことを思い出す。
あのときは・・・本当に嬉しくて楽しくて・・・。

なのに・・・彼は私よりも彼女を選んだ。

「・・・駄目。恭ちゃんは私なんかより七深さんと付き合うべきだよ!!!」

そういって無理やり彼を・・・・放した。

「え・・・・どうゆう意味?」
「そうゆう意味・・。もう、あたしに近づかないで・・・やめようこの関係。」
「え・・・やめるって・・・。」
「幼馴染だよ・・・あたしたち赤の他人でいいよ。」

そう・・・こんな特別な関係だったから私は彼に近づく。
彼も私に近づく・・・ならそんな関係ならいらない。

「なんでだよ・・・。」
「なんでもだよ・・・これで最後。さよなら・・・。」

最後に彼を見て微笑む私。
でも彼は私を見ても悲しい表情しかしない。

すると何も言わないと思っていた彼が

「わかった・・・・。いままでありがとな、あいつと幸せになれよ。」