「・・・。」
あ・・・痛い。
まただ・・痛い。
「俊ちゃん・・・痛い。」
「え!?ど・・・どこが!?ごめん!優しく撫でたつもりだったんだけど!」
「ううん・・・心が。」
「・・・。」
彼はそれを聞くと私を抱きしめた。
ギュ・・・。
「・・・俊ちゃん?」
「辛いなら・・・あいつに近づかないで。星華は俺の傍にいてよ。」
「え・・・。」
辛いわけじゃない・・・けど痛いのは辛い。
どうゆうこと?
「俊ちゃん・・・あたし大丈夫だよ?俊ちゃんがいるのに辛いわけないじゃん。」
「星華・・・なら何で痛いの?痛いの嫌なんでしょ?」
確かに痛いのは嫌だ・・・。
でもなんで痛いんだろう・・・。
少し考えてみる・・・痛かったのは恭ちゃんが言った言葉だけだ。
「恭ちゃんだ・・・恭ちゃんはあたしに痛いことばっかりしてくるよ・・・。頬抓ったり・・元気なかったり・・・言葉の意味が分かったりするときは凄く痛い。」
そう・・・彼だ。
私の痛みの元は彼。
「星華・・・お前を傷つけるやつは皆近づけさせない。だから・・・もう痛くないからね・・・。」
そういって抱きしめる力が強くなった。
「ありがとう・・・。多分、俊ちゃんがいればあたしは笑顔でいられるきがする。」
私は俊ちゃんの顔を見上げ笑った。
私は恭ちゃんが好き・・・。
それだけ・・・後は何もない。
「星華・・・泣いてる。可愛い。」
え?泣いてる・・・見覚えが・・・。
「いつのまにっ・・・ごめんね。泣き顔みせちゃった。」
あー・・・彼に一番見せたくないものを見せてしまった。
恥かしい・・・。
私は目を擦ろうとすると・・・彼がその手を掴んだ。
「俺が拭く・・・目閉じて。」
優しく静かな声で言ってくる彼・・・。
私は頷く代わりに目を瞑った。
さっきまで冷たかった手が今度は
涙を乾かすように温かい・・・。
私のまぶたを彼の指がなぞり優しく紡いでくれる。
少しドキドキしてしまった・・・。
「はい。あ・・・そのままにしてて。」
目を開けようとしたが彼がそう言ってくるので
閉じたままにしておく事にした。
