「きょ・・・恭ちゃん!?ちょっと近寄りすぎじゃない!?」
そう言って少し放れようとするけどびくともしない。
「そーか?・・・・つか、放れんなよ。いいじゃん!幼馴染なんだしこれくらい!」
幼馴染・・・そう、彼と私は幼馴染。
それ以上でもそれ以下でもない。
それを聴いて私はこの関係に少しホッとした。
「でもどうやって踊るの?・・・わぁ!」
彼は容赦なく私の体を寄せて軽いステップで回っていく。
正直・・・心地いい。
「んー・・・適当!でも、踊れてるだろ?」
「なにそれっw・・・とりあえずこのまま踊ってみますか!」
とにかく今が楽しかった。
このまま時が止まればいいのに・・・。
*【高梨恭ver】*
俺はあいつの事が好きだった・・・。
でも振られた。
「あ・・・ご、ごめんね!恭ちゃんも練習でしょ?ここでするならあたしどくから使っていいよ!!!」
ダンスパーティーの練習でお前が屋上に行くのが見えた。
お前だってすぐ分かった。
俺は追いかけてお前と練習しようって言うつもりだった・・・。
なのにあいつはそんなこと言うから
俺は何の迷いもなくあいつの腕を掴んで
「待てよ・・・行くな。」
なんてキザっぽいこと言ってしまった。
「恭ちゃん?・・でもあたし邪魔でしょ?邪魔なら邪魔って・・・」
それでもまだ渋るあいつ。
少し腹が立った。
「邪魔じゃないからここにいろ。」
多分こんなこと言わなかったらあいつはここに今いなかっただろう・・。
そんなことも少し思ってみたりする。
「うん・・・わかった!そうするね!」
その言葉に少しホッとする俺。
確かにこのまま拒絶され続けるのは俺は好んでいなかったし。
「はぁ・・・これでやっと話せる。」
俺がため息混じりに出した言葉にきょとんとするあいつ。
「え?」
やっぱり腹が立つ。少し言ってやろう。
「え?じゃねぇよ!!あのあとお前に会おうとするとどっかに行くし目もあったら逸らすし・・・どうすればいいのか分かんなかっただろ!!」
