2年3組乙女事情


「で、ホテル帰還命令か」


「はい。……拉致されたので戻ってませんけど」


「拉致じゃねーし。合意の上だ」



にっと片方の頬を上げる奥間さんが、いろんな意味で眩しくて見えない。



走るのを免除されて、ホテルに戻る途中で呼び止めてくれた奥間さん。


どうせホテルに戻っても暇だからって、こうして雑談に付き合ってくれてるわけだけど……



こんなひどい顔を見られるなんて、昨日の水着の何倍も恥ずかしい気がする。



てゆーか、バイトはサボってて良いのかな?


まだ始まってないとか?



緊張でぼーっとする頭と、じんじんする目にパニックになりながら話していると

砂浜の先にピンク色のジャージが見えてきた。



「おっ、そろそろ時間か……。お前、今日の予定は?」


「へ?今日は、午前中が調理実習で、午後は博物館の見学と近くの観光」


「調理実習なんてあんのか……。午後の予定始まる前、少し時間ある?昼飯の後とか」


「え……はい。たぶん、少しなら」



今度は、はてなマークで頭がぼーっとする。



「そ、じゃあメアド、教えて」


「え……は?」