2年3組乙女事情

「海には入れないから、一緒に潜る場所まで移動して、そのまま船で留守番、だな」


「えぇー?それはさすがに可哀想かも」



思わず大きな声を出したくるみに、うんうんと首を振る。


エメラルドグリーンの海は船の上からでも十分楽しめると思うけど
さすがにそれは気の毒だ。



海の中と外では、全然世界も違うはずだし……。



「先生と一緒に留守番したくなかったら、早く着とけ!先生と同じように、太って着れないと思われたら大変だぞ?」



仁王立ちで言われると、私も動かないわけにはいかない。



「じゃあ、こっち見ないで下さい!」


「はいはい。難しいお年頃なのね、女子高生は」



大げさに肩をすくめた奥間さんが、その場を去る。



何か作業でもあるのかな?


従業員らしき人に話しかけられて、頷く姿が目に入った。



それをちゃんと見届けてから、着てたTシャツをがばっと脱ぐ。



「だ、大胆だね」


「うん。さっきまでずっと嫌がってた子には見えないわ……」



いろいろ言う2人を無視して、私は一生懸命着替えた。



だって、意外にキツいんだもん、コレ……。



やっとの思いで着終わって、間一髪のところでみんなに続く。



「白地に赤の小花柄ですか」



慌てて耳を隠しながら振り向くと
そこには、にやりと笑う奥間さんがいた。



今は見えない水着の柄と同じくらい、私の顔は真っ赤に染まった。