「さぁっ!そーとわかったら、これからまだまだ語らなくっちゃ!」



そう言って、佐奈が声を弾ませた。



「今度は何の話?」


「何のって、チカの話に決まってるでしょ?」


「だからあたしは、彼氏いないから話なんて……」



慌ててそう言ったあたしを、佐奈がきりっと睨んだ。

杉野さんに助けてもらいたくて視線を向けるけど、それもふいっと反らされる。



……もしかして、さっきあたしが助け舟を出さなかった仕返し?



「彼氏いない者には、彼氏いない者としての義務があるのっ!」


「そんなの、初めて聞いたよ?榎本さん、勝手に考えたでしょ」


「そんなの良いの!
チカにはたーっぷり、理想のタイプとかデートとかを語ってもらうんだからさ。彼がいない分、乙女な妄想が炸裂だよ、きっと」



にやっと笑う佐奈に

杉野さんも、なるほどっと頷いた。



2人とも、あたしが思わず枕をぎゅってしちゃったの、気づいてる……?