「小松さん。
この書類には親のサインとハンコが必要だって言ったでしょう?
あなたの名前しか書いてないってどういうこと?」


「すみません」


「明日までは待ってあげますから、ちゃんこの書類を完成させてきて下さいね」


「すみません」



目の前で厳しい顔をしている担任の先生に、私はただただ頭を下げた。




「芽依さ、それお母さんに見せなかったんでしょう?」


先生と話終わって席に戻った私に、舞花が声をかけてきた。



藤堂舞花[とうどうまいか]は、私の右斜め前の席に座ってる。



真っ黒で長い髪と、ぱっちりとした目がお人形みたいで本当に可愛い。


でも、意外にさっぱりとしてるのが舞花。


実はそれなりのお嬢様なんだけど……。


まぁ、これを言うと怒られるから困っちゃうんだけどさ。