「果歩ちゃん!元気出して!
今日は、ぱぁぁーっと遊びに行っちゃおうよ!」


次の日の放課後、ネジがはずれちゃったみたいにふらふらしてるあたしに、亜希帆ちゃんと瑛梨奈ちゃんが声をかけてくれた。


校庭を騒ぎながら歩いているみんなの声が、妙に耳に響く。


そんな声を少しうっとおしく思いながら、あたしは静かに下を向いて歩いた。


「果歩!」


いきなり聞こえた聞きなれた声に顔を上げると、目の前には彰宏と、あの女の子がいた。





「果歩先輩!どうもすみませんでしたっっっ!!」


「えぇっ!?」


思いっきり頭を下げて謝ってきたその子に、あたしはびっくりした。



「私、リア女の付属中3年の楠知美[くすのきともみ]です。
実は私、彼氏に浮気されちゃったんです。
それで、幼馴染の彰宏に頼んで、彼氏のふりをしてもらって、彼氏の気持ちを試そうと思って……。
結局、彼氏とは別れたんですけど、私のせいで彰宏と果歩先輩の関係をぎくしゃくさせちゃって、本当にごめんなさいっっ!!」