「とりあえず、さり気なく聞いてみるしかないだろうね」


空になったコップをつまらなさそうに見ながら瑛梨奈ちゃんが言った。


「さりげなくって?」


「あたしは友達と買い物に行ってたんだぁ!
新しい洋服を買ったから、日曜日のデートは期待しててね!
彰宏は何してたの?

……とか?」


瑛梨奈ちゃんは、尊敬に近いまなざしを向けるあたし達を軽く横目で見た。


「早くメールでもしたら?
それに、もうそろそろ暗くなるから、2人とも早く帰りなよ」


名前はすっごく可愛いのに、意外とクールな性格の瑛梨奈ちゃんは、そう言うと机を片付け始めた。


あたしは彰宏にメールを打ってから、瑛梨奈ちゃんの家を出た。






彰宏からメールの返信があったのは、晩御飯も食べ終わって、お風呂にも入り終わって、大好きなドラマも見終わってからだった。



time:20**/*/**
from:鈴木彰宏
sub :(無題)
―――――――――――――
果歩は買い物に行ってたんだ!
新しい服かぁ。楽しみにしてる
よ。

僕は今日、知り合いと椿駅の辺
りにいたよ。
柔道部の奴で、何かあるとすぐ
手を出してくるんだ。怒らせな
いように必死だったから疲れた
よ(笑)
―――――END―――――





「彰宏の…………バカァァァア!!!」