「木原警部補、状況を説明して下さい」


はきはきとした声で指示を受ける。


これが自分の仕事だ、とでも言うように、着ていた黒いジャケットの襟をびしっと整えてから、口を開いた。


「はい。
時刻は、午後4時12分。
場所は、椿駅南口の正面階段。

容疑者である鈴木彰宏[すずきあきひろ]は、カメリア女子学院中学と思われる制服を着た少女と腕を組んで歩いていました」


「わかった。
容疑者と親交の深かった人物は?」


「はい。
今年の2月22日金曜日からカメリア女子学院高校の木原果歩と恋人同士であるようです。

鈴木彰宏からの5回ものあつぅい告白の末、やっと付き合い始めた2人は、先日やっとあつぅくお互いを求め合い……」














「……何やってるのよ。あんた達」



「何って、警察ごっこだよ!ね、亜希帆[あきほ]ちゃん?」


ジュースを乗せたお盆を持って固まる瑛梨奈[えりな]ちゃんに私が言った。


「うん。何か面白そうだし!瑛梨奈ちゃんもどう?」



「……はぁ」