「とにかく! そんな理由じゃダメだから!」



びしっとあたしを指さしてそう言った部長は、何事もなかったみたいにパソコンに向き合った。



「何で?」


「何でも!」


「“何でも”って何!?」


「何でも!!」



部長がパソコンから顔を上げる気配がない。



杉野さんも、あたし達の会話を何でもないBGMみたいに聞き流しながら、涼しそうな顔で読書をしてる。



「入れてくれるまで、毎日通い続けてあげるんだから!」



こうなったら開き直るしかない!


いくら拒否されたって、部室のドアを叩き続けてあげるんだから!



そう思って1人で頷くあたしに、部長がちらっと視線を送った。



「……幽霊部員宣言?」


「違うっ!」



低い声で言った部長の言葉を、全力で否定する。



いつの間にか立ち上がっていた杉野さんが、カーテンを閉めながら小さく笑った気がした。