「せっかく高校生やってるんだから、青春っぽいことしないともったいないじゃない?」


「まぁ、そうかもしれないけど……」


「でも、今からスポーツは無理だし、音楽でもすぐには実績残せないし、……。
その点、ここならお手頃かなって!」



眉間に思いっきりしわを寄せた部長が、正面からあたしの顔を覗き込んだ。


変人扱いされてるのが明らかでちょっと悲しいけど……まぁ、仕方がない。



「それに、同じ3組の杉野さんもいるし!」


「……専ら読書してるだけだけどね、私」


「玲ちゃん、本当にたくさん読んでるよね。今は何読んでるの?」



不思議そうに首を傾げた部長に、奥のソファーで本を読んでいた杉野さんが、同じくらい首を傾げながら口を開いた。



「うーん……何か恋愛小説。結構ドロドロしてるから嫌になってきちゃったんだけど」


「へぇー、杉野さん大人っ! あ、でも、あたしは読むのは苦手」


「じゃあ、書けるの?」


「うーん……妹の作文なら代筆したことあるよ!」


「ダメじゃん。それ」



せっかく普段やらないウインクなんてやってサービスしてみたのに、部長は呆れたように溜息を吐いた。


さすがにここまでだとひどい気がする。



自分が調子の良い言葉を並べてるのがよくわかるから、反論できないのが痛いところなんだけどね。